年度末の慌ただしさにまぎれてご報告がすっかり遅くなってしまいましたが、3月初めに再びヴェネツィアに行ってきました。
前回お会いできなかった「ヴェネツィア保護のための国際民間委員会連盟」(以下「連盟」)会長のAlvise Zorzi氏にもお会いしました。Zorzi家はヴェネツィア共和国総督(Doge)も輩出した名門で、氏自身はヴェネツィアに関する多くの著作で知られています(日本語訳のあるものもあります)。また、ヴェネツィアのユネスコの建物はPalazzo Zorziで、もとは同家の所有でした。会長は日本委員会の誕生を心から喜んでおられ、今年10月の連盟の総会における加盟承認について確認しました。
資金援助の対象を決定するのが今回の訪問の目的でした。イギリス委員会「Venice in Peril」の名誉会長Lady Clarkeに再会し、同委員会が出版した2冊の研究書(くわしくはホームページ参照)の共著者であるJane Da Mosto氏にもお会いしました。Da Mosto氏によると、目下進行中の研究プロジェクトはなく、次のステップを検討中であるとのことでした。
他方、ヴェネツィア東洋美術館の館長Fiorella Spadavecchia氏からは、ぜひ同館の日本美術コレクション修復に協力願いたいと要請がありました。今回は展示室だけでなく倉庫も見せてもらいましたが、修復を必要とする楽器、漆器、屏風等はいくらでもあるということです。修復は基本的に費用がかかるものですが、日本美術の場合は修復のための技術者がイタリア国内にほとんどいないのが問題だそうです。イタリアには美術品修復を学ぶ国立学校が3校、ヴェネツィアにも他に2校あるそうなので、将来的にはそこで学んだ技術者に日本での研修のための奨学金を提供するのも有意義ではないかと思います。
今回、Lady Clarkeの好意で、高波からヴェネツィアを守るバリア「モーゼ計画」建設の本部を訪問し、くわしい説明を受けました。これはイタリア政府が多額の税金を投入した国家プロジェクトで、2014年に完成予定です。ヴェネツィアとその周辺の潟(Laguna)を守るための努力は、国家から民間まであらゆるレベルで行われています。
「未来のヴェネツィア」はNPO法人として5月に認証される予定です。本格的な活動に向けて、ホームページの改良も予定しています。みなさんのご意見をお待ちしています!
PR